大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和46年(オ)762号 判決 1971年11月19日

主文

理由

上告代理人岸本静雄の上告理由について。

生前相続の制度が廃止された現行民法のもとにおいても、旧法(昭和二二年法律二二二号による改正前)施行当時生前相続により承継した不動産の取得を第三者に対抗するためにはその旨の登記を経ることを要する旨の原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)の判断および不動産の所有権につき取得時効が完成したのち、時効取得者がその旨の登記をしないでいる間に、第三者によつて登記名義人に対する債務名義に基づく強制競売手続が開始され、強制競売申立記入登記が経由されたときは、時効取得者は執行債権者に対抗することができない旨の原判決の判断はいずれも正当である。そして、原審の確定した事実関係によれば、上告人は、被上告人の本件不動産に対する強制競売申立による記入登記が経由された当時、いまだ本件不動産に対する所有権移転登記を経由していなかつたというのであるから、前示の理由によつて上告人の本訴請求を排斥した原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一 裁判官 小川信雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例